◆心の三層構造
●第2層: 潜在意識
「感謝しろと言われたって、そう思えない」
「前向きに考えることが大事なことなんて、わかっているけど不安が消えない」
「愛の心をもって接したいけど、どうしても許せない」
「自分の感情がすべてを引き寄せるのだから、よい感情をもちたい……、でもできない」
このように「思うようにしよう!」というのは、実は「そう思っていない」から「思おう」としているのです。「思うようにしよう」とする心の前に「すでに思っている心」があるのです。「すでに思っている心」の方が圧倒的に強い心です。この、ふと我に返った時にわき上がってくる「すでに思っている心」が、心の第二層、潜在意識(遺伝子の記憶)です。
さて、「人間は記憶でできている」と言うことをお伝えしました。
私たちはこの世に誕生したとき、すでにお父さんやお母さんに顔が似ていたり、性格が似ていたり、体質が似ていたりしています。それは、先祖からの記憶を遺伝子によって引き継いでいるからです。そして魂の世界では、前世のことも記憶としてあなたに蓄積されているのです。
さらに私たちは、生まれてから今日までに、たくさんの出来事を経験しています。嬉しかったこと、楽しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、また無意識のうちに感じ取っていることなど、それら無数の出来事の記憶があなたの中に保存され、すべての記憶をあなたは何ひとつとして忘れていません。
このように私たちは「遺伝子」、「前世」からの記憶を両方持ち合わせて生まれ、生まれてから今日に至るまでのすべての記憶は、あなたが頭では忘れているように思えても、細胞レベルですべて体に刻み込まれているのです。その記憶が心の第二層である「潜在意識」に蓄積されているのです。それを「細胞の記憶」「遺伝子の記憶」とも言ったりします。
そして、この心が、外界(心という内界に対し、目に見える外側の世界)によって影響を受けると、表に出てきます。それは、過去の体験と似たような状況が現れたり、その刺激によって、ふと頭にわき上がってくるものなのです。
幼い頃、父親に厳しく育てられて、「いつも叱られていた」という苦い記憶が刻まれている人の場合を例にします。その人は、時間が経過して大人になって、社会に出ても同じようなことを繰り返してしまう傾向があります。会社の上司など、自分の父親と同年代の人を見る度に、過去の記憶がよみがえって、叱られてしまう行動を繰り返してしまうこともあります。「叱られないようにしよう、叱られないようにしよう」と思い直してみても、過去の体験に伴って心に深く刻み込まれた心の強さにはかなわないのです。
このような反応は、他にもたくさんあります。そして、これはほとんど自動的に起こります。「思おう、思おう」とする観念(頭)の層より、この「すでに思っている」潜在意識の層の心の方が格段に強いのです。ですから、ほとんどの人は、人生を過去の記憶を前提にして決定しているともいえます。
また、頭をいくらプラスに変えようとしても、心がマイナスであれば、効果はなかなか出ないのです。むしろ逆効果になってしまいます。それは心が分離してしまうからです。頭をプラスにしても、心がマイナスであると、人を裁くか自分を裁くという悪循環に陥ってしまう危険さえあります。
「幸せになりたい」と思っていても、ふっと我に返ったときの心、そして、静かに目を閉じていたときに脳裏にわいてきた心、それが普段意識することなくあなたの人生を左右している原因なのです。
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